この仕事を始めた頃、尊敬する先生の指の動きを羨ましく思ったことがあります。
指に目が付いているように、患者様のツボをピタリピタリと当てていく、その正確で滑らかな動きを見て「いつかはこのような指を持てるようになるのだろうか」と思いました。
最近、患者様から「先生の指は目が付いているようですね」と言われることがあります。
確かに患者様の治療の中で、必要なツボで指が止まるようになりました。
10年以上いろいろな治療を通じて患者様の体を触らせて頂き、僕もやっと目指していた山の裾野を踏めたような気がしています。
指の目の作り方は、とにかくひたすら体を触って人の体の形を覚えるしかありません。
専門的な知識を持った上で、実際に筋肉、骨、筋肉、背骨など、徹底的に触り確かめていきます。
そして人の体というのはどういう形なのか、どういう構造なのか、どこからどこに伸びているのか、触って確認し、人の体の感触を自分の体にインプットしていく、という作業を地道に日々続けるしかありません。
さらに人間の体は、詰まったり、気が足りないところが出て来るので、それも触って確かめます。
患者さんとコミュニケーションをとりながら触っていくとより分かりやすくなり、慣れてくると患者さんが気づかなかった不調もわかるようになります。
なにより大切なことは、触診だけに頼らず問診や脈診と合わせて不調の原因を探っていくことだと思い、日々取り組んでいます。