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医神探究① アスクレビオス 

医療者として、医の神様についてよく想いを巡らせる事が多い。(もう少し良い表現があると思うが)
縁あってギリシャ神話に詳しい教授先生と話をする事があり、医療の神様についてお話を伺う事が出来た。

アスクレビオスの出自

ギリシャでは医神といえば、アスクレピオス
有名なアルゴー船に乗っていた神様であり、太陽神アポロンとコロニスの子供
コロニスがアポロンとの子供であるアスクレビオスを身ごもっているときに、コロニスの不貞が疑われた。

コロニスはアポロンに矢で貫かれ死んでしまった。

不貞をしていたかどうかは諸説あり、その責任を取ってカラスは黒くなったという。

アスクレビオスの生涯

死んでしまったコロニスの胎内でまだ生きていたアスクレビオスはアポロンに取り上げられ、ケイロンに養育を任される。
ケイロンは優れた教育者であり、そこで医療を学んだとされる。

アスクレビオスはイアソンとアルゴ船の冒険にも参加していたとされる医療の英雄でもあり、おそらく実在の人物でもあるのであろう。
神殿では実際に行われていた医療の形跡が残されている。

アスクレビオスの治療は死者をも蘇らせるレベルまで到達し、人間が神と同様になることを恐れたゼウスがアスクレビオスを雷霆にて殺した。
そののち蛇遣い座に取り上げられたとされる。

アスクレビオスの治療と私見

アスクレビオスの神殿ではマッサージ、観劇や病気や悪いところの像を神殿に奉納して治療などしていたようだ。

観劇では悲劇が多く上映されていたようで、悲劇を通じ感情のカタルシスを起こし治療していたのであろう。

カタルシスについてはのちのヒポクラテスに繋がっているように感じる。
実際にヒポクラテスはアスクレビオスの子孫とする説もあるようだ。
いずれにせよ、観劇して情動の変化を起こすことを正式に医療としてされていたようである。
これからの医療でも取り扱うべき内容の様に感じた、

病気の部位の奉納は病気平癒の祈念として行われていたようだ。
呪術的な意味があるようで、日本の形代を使った禊に近いように思われるが個人的には穢れ、禊的な観念を使ったというよりも治る力そのものを取り扱っているように思える。
邪気や穢れといったマイナスエネルギーを祓うというよりも生気を主として取り扱うもしくはその両面を扱ったのであろうと自分は感じた。

アスクレビオスの医神としてのルーツ
ケイロンに師事し医療を学んだとされるが、教授先生曰くルーツとしては父親であるアポロンにあるようだ。
アポロンはオリエントから来たとされ東方の神とされる。
オリエントというのは範囲が広いが中東やその周辺諸国が疑われているようだ。
太陽神として有名なアポロンであるが、もっと原始的な太陽神はヘリオスとして扱われることが多い。
象徴としての太陽であるヘリオスが後世に実在する神としてアポロンに集合されたのではないかと思われる。

アポロンからアスクレビオスに受け継がれたと思われる医療技術は東方から来たものであろう。
それは日本の稀人神である少彦名神(個人的には大己貴命も稀人神だと思っている。)にもつながっていくのだろうと思う。


既存の治療技術と異国の治療技術の遭遇は明治期の蘭学医と漢方医のように相反し、反発することもあるが、漢方薬と西洋薬を合わせた薬も研究され効果を挙げたという例もあるようだ。
これから様々な医療技術が交雑し、研究されより高度な医療開発に繋がっていけばと願うばかりだ。

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